こんな人におすすめ
- FIREを目標としていてできる限り安定した運用をしたい人
- 結婚やお祝いなど大きな支払いが控えており、お金を減らしたくない人
- 定年退職などでまとまった資産の運用方法を考えている方
- S&P500や全世界株式を積み立てているけどこれだけでよいのか悩んでいる方
概要
本記事は 世界のエリート投資家は何を考えているのか アンソニー・ロビンズ著 (2017) に記載の内容を参考に執筆しています。
本書は、超有名な投資家であるバンガード創業者ジョン・C・ボーグルやブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオへのインタビューとともにFIRE(経済的自立)達成に向けての指南書となっています。
前半がFIREへの道のり、後半が具体的なポートフォリオの解説となっており、
本記事では特に
「最低投資額100億円を越える超富裕層だけが利用しているアセットアロケーション手法」が
私たちにも有用であると思いましたのでピックアップして解説いたします。
現金があるうちは「暴落は買い場」
FIREして収入がなくなったら…「暴落は天敵」になります。
資産配分(アセットアロケーション)を最適化することで、
リーマンショックがあろうと、コロナショックがあろうと、銀行破綻があろうと、
下落率を抑え資産の安定的な成長を得ることを目指します。
はじめに
こんにちは。あらです。
投資を始めるにあたり様々な情報を目にすることと思います。
ネットを漂っていると若いうちは株式投資100%でいいとか、株と債券の割合は20代なら株式:債券=80%:20%で良いなどよく耳にしますね。
結局どれを参考にすればよいのか?というところを解説します。
本書には1000億ドル(約10兆円)もの金額を運用する本物の投資家の本物の情報が載っています。
※本記事では僕自身の解釈も含まれてしまっていますので、ぜひご一読いただければと思います。
TL;DR (結論)
結論から言うと、レイ・ダリオの黄金ポートフォリオ(オールウェザー戦略; オールシーズンズ戦略)は、
「リスクを平均化した資産配分手法」です。
オールウェザー戦略を一般投資家向けに簡単化したものをオールシーズンズ戦略と本書では呼ばれています。簡単化したとはいえ、暴落に対する防御力はかなり高いです。
資産を安定的に運用するFIRE達成前~FIREした方向けの投資手法といえるでしょう。
一方でS&P500や全世界株式に比べてパフォーマンスは見劣りするのも事実です。
自分にとって最適な投資手法は何か?を考えながら読んでいただけると幸いです。
いきなりですが、オールシーズンズ戦略のポートフォリオはこちらです。
- 米国株式 :30%
- 中期米国債券(7~10年) :15%
- 長期米国債券(20~25年):40%
- 金 :7.5%
- 商品 :7.5%
このポートフォリオは1927年から2013年までの75年間で年利9.72%, 最大損失-3.93%(2008年のリーマンショック)という好成績を収めることが確認されています。
(2008年のリーマンショック時、S&P500の損失は-37%です。)
一方で直近10年間はS&P500や全世界株式のほうが成長率が高いことも確かです。
FIREするにあたり、どの程度の値下がりを許容できるかを考えたとき、これが最適な手法であると考えています。
FIRE(早期に仕事を辞めて)して、資産運用で生きていくぞ…という時に30%も値下がりしたら僕は夜も眠れなそう…なので
安定・成長という考え方はFIREを目指す自分達に適した考え方だと思います。
「信託報酬率の低い投資信託やETFを利用してポートフォリオを組むのでよい」とされています。
構築は難しくはありませんのでぜひトライしてみてください。(具体的なETFについては下記に記載します)
オールウェザー戦略の根幹
株式や債券、商品、金など資産価格が上下に動くのは4つの理由で説明することができるといわれており、
1. インフレ
2. デフレ
3. 経済成長
4. 経済下降
で構成されています。
しかしこれがいつ起きるのかは誰にもわかりません。
2023年4月現在はウクライナとロシアの戦争を皮切りに、原油価格高騰、飼料価格高騰からのインフレ、失業率増加、金利の上昇による経済下降といった状態です。
これらすべての上昇/下降に対応するポートフォリオを組む
これがオールウェザー戦略の根幹です。
リスクを平均化するとは?
レイ・ダリオは、「リスクが同量の4つの資産でポートフォリオを組むことで減らずに増やすことができる」と述べています。
リスクが同量とはどういうことでしょうか?
株式50%と債券50%のポートフォリオをケースに考えていきます。
一般的に株式のリスク(株価の振れ幅)は債券の3倍と言われています。
例えば、1973年から2013年の間に株式と債券を1:1の割合でもっていたら…
SP500は9回の損失(累積損失134%) 134% ÷ (134%+6%) = 95%
一方で債券は3回損失(累積損失6%) 6% ÷ (134%+6%) = 5%
実際に資産がさらされるリスクは株式95% 債券5%になるのです。
50%:50%でバランスが取れているように見えますが、資産全体の損失は95%を株式が生み出しており、株式の資産に与える影響が大きくなっていることがわかります。
つまり、株式と債券とでリスクを平均化するには、おおよそ株式1: 債券4で持つことで値下がり時のリスク分散ができそうですね。株式20%、債券80%です
ここでさらに、金・商品を組み入れることでインフレによる株式/債券の下落リスクを抑えることができ、
オールシーズンズ戦略が出来上がります。
ポートフォリオを構築する
オールシーズンズ戦略のポートフォリオは次のようなETFで実現することが可能です。
資産名称 | 資産内訳 | 銘柄(海外ETF) | URL |
米国株式 | 30% | VTI | VTI 銘柄 – バンガード・トータル・ストック・マーケットETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
中期米国債券(7~10年) | 15% | IEF | IEF 銘柄 – iシェアーズ米国債7-10年ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
長期米国債券(20~25年) | 40% | TLT | TLT 銘柄 – iシェアーズ米国債20年超ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
金 | 7.5% | GLD | GLD 銘柄 – SPDRゴールド・シェア 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
商品 | 7.5% | DBC | DBC 銘柄 – インベスコDBコモディティ・インデックス・トラッキ 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
パフォーマンス
パフォーマンスを見ていきます。
成長率で見るとS&P500はかなり優秀であるということがわかります。
直近10年ではS&P500に軍配があがりました。
続いて下落幅を見ていきましょう。
2019年のコロナショックではオールシーズンズ戦略も下落をかなり抑えられていますね。
一方で、2022年に始まった利上げの影響は大きいようで、S&P500と同等な下落率となっています。
いつでも安全安心といったわけではなく、弱点の対処もある程度はする必要もありそうですね。
利上げによる債券価格の下落は、銀行破綻を引き起こすなど問題になってきていますね。
この状況は本書にも挙げられていた弱点なんです。
逆に言うと、今知れてよかった。
さらに高金利により債券が売りたたかれている今が債券を仕込んでおくチャンスとも言えるかなと。
オールシーズンズ戦略をリスペクトしつつ自分なりに少し変化させてみる
米国株式については、VTI以外でもVOO(S&P500), VT(全世界)を利用したり、
中期米国債券については、IEFの代わりにVGIT(米国中期国債7-10年ETF), TIP(米国物価連動国債TIPS)を利用するのもよいと思います。
商品については、エクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)といった石油企業
ゼネラルミルズ(GIS)、アーチャーダニエルズ・ミッドランド(ADM)などの農作物の企業を持つのもよいかもしれません。
オールシーズンズ戦略をリスペクトしつつ、
僕の場合は下記のポートフォリオを目指して投資中です。
資産名称 | 資産内訳 | 銘柄(海外ETF) | URL |
米国株式 | 30% | eMAXISSLIM S&P500 | 03311187 銘柄 – eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
中期米国債券(7~10年) | 15% | TIP | TIP 銘柄 – iシェアーズ米国物価連動国債ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
長期米国債券(20~25年) | 40% | BLV | BLV 銘柄 – バンガード長期債券ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
金 | 7.5% | GLD | GLD 銘柄 – SPDRゴールド・シェア 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
商品 | 7.5% | PXD, ADM | ADM:New York 株価 – アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド – Bloomberg Markets PXD:New York 株価 – パイオニア・ナチュラル・リソーシズ – Bloomberg Markets |
2024年4月現在は債券価格が下落して金利が高くなっている今を好機だと考えており、TIP、BLVを買い増ししているところです。また、金の価格がかなり上がっているためGLDは買えていません。
資産の内訳の状況をみながら随時買い増ししていければと思います。
また、一定数は株主優待付き日本株に投資する予定です。
現在保有している日本株の一部をご紹介します。
あら:KDDI、沖縄セルラー電話、アダストリア、宝ホールディングス
妻:アダストリア、ハニーズホールディングス、日本たばこ産業、すかいらーくホールディングス
などに投資しています。
これについてはまた別の機会にご紹介いたします。
おまけ
国内ETFで構成するパターンも考えてみましたのでご活用ください。
資産名称 | 資産内訳 | 銘柄(国内ETF) | 信託報酬 | URL |
米国株式 | 30% | MAXIS米国株式(S&P500) (2558) | 0.077% | 2558 銘柄 – MAXIS米国株式(S&P500)上場投 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
中期米国債券(7~10年) | 15% | MAXIS 米国国債7-10年上場投信(為替ヘッジ無し) (2838) | 0.12% | 2838 銘柄 – MAXIS米国国債7-10年上場投信( 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
長期米国債券(20~25年) | 40% | iシェアーズ 米国債20年越ETF(為替ヘッジあり) (2621) | 0.14% | 2621 銘柄 – i シェアーズ 米国債 20 年超 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
金 | 7.5% | SPDR ゴールド・シェア受益証券 (1326) | 0.40% | 1326 銘柄 – SPDRゴールド・シェア 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
商品 | 7.5% | – | – | おすすめできる商品が見当たりませんでした。 |
米国株式については、投資信託のeMAXISSLIM S&P500や楽天VTIなどで代用することも可能です。
その他については信託報酬の低い銘柄が見当たりませんでしたので国内ETF or 空欄としています。
FIRE後、30%を越える下落にも耐えられるポートフォリオを構築したいところですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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