- 高配当ETFや高分配ETFに興味がある方
はじめに
こんにちは。あらです。巷で話題の高分配ETFについて調査してみました。高配当ってすごく魅力的ですが…トータルリターンはどうなの?どういう仕組みなのか?どんな人が利用したらいいのか?について解説していきたいと思います。
TL;DR
- 資産形成を目的としている人には信託報酬, 配当課税の点で非効率なためそもそも不要
- そのうえで、リスクを理解している前提で、S&P500のボラティリティを下げて投資したい人、FIREした後リバランスの運用工数を下げたい人にはJEPI, XYLDの利用価値あり
- 僕はシンプルに運用したいので利用しません。
XYLD/QYLD/XYLG/QYLGについて
Global X (wiki)は2008年に米国で創業したETF専門の資産運用会社です。テーマ型に特化しており、クリーンエネルギーやAI、仮想通貨等幅広いETFを展開しています。
その中でもXYLDやQYLDが高分配金・毎月分配で話題になっていますね。
XYLD(グローバルX S&P 500・カバード・コール ETF)はS&P500指数への投資とS&P500指数のコール・オプションの売却(カバードコール戦略)を行います。
QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)はNasdaq100指数への投資とNasdaq100指数のコール・オプションの売却を行います。
どちらもカバレッジレシオは100%で設定されており、すべての上昇/下降に対してオプションが適用されています。
XYLG(グローバルX S&P500・カバード・コール50ETF), QYLG(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール50ETF)といってカバレッジレシオ50%のETFも存在します。
ETF | XYLD | QYLD | XYLG | QYLG | VOO |
概要 | S&P500指数連動&カバレッジレシオ100% | Nasdaq100指数連動&カバレッジレシオ100% | S&P500指数連動&カバレッジレシオ50% | Nasdaq100指数連動&カバレッジレシオ50% | S&P500連動ETF |
信託報酬 | 0.60% | 0.60% | 0.60% | 0.60% | 0.03% |
分配利回り(年) | 11.90% | 11.92% | 5.89% | 5.93% | 1.57% |
トータルリターン(1年) | -7.59% | -7.43% | -7.80% | -9.07 | -5.81% |
トータルリターン(3年) | 12.11% | 8.92% | – | – | 15.31% |
運用資産額 | 約9,500億円 | 約3,500億円 | 約75億円 | 約98億円 | 約38兆円 |
備考 | グローバルX S&P 500・カバード・コール ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX S&P 500・カバード・コール 50 ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール 50 ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | VOO 銘柄 – バンガードS&P500ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
ボラティリティを落とすことはできかつ高分配ではあるが理屈上S&P500やNasdaq100を上回る可能性があるのは横ばいの時のみ。
JEPI/JEPQについて
JEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF)はS&P500銘柄から選び抜かれた株式80%とELN(Equity Link Note)20%としたアクティブETFです。JEPQ(JPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF)はNasdaq100銘柄から選び抜かれた株式80%とELN20%とで構成されるアクティブETFです。
交付運用報告書はこちら s-ar-jepi.pdf (jpmorgan.com)
ELNとは仕組債の仲間でありオプション取引を債券の形で利用することができる金融商品です。
ここではS&P500やNasdaq100のコールオプションの売りを組み込んだELNを利用します。
下記のようなELNが組み込まれているようです。
Canadian Imperial Bank of Commerce, ELN, 68.70%, 7/11/2022
Credit Suisse AG, ELN, 67.80%, 7/8/2022
それぞれの比較表はこちら
ETF | JEPI | JEPQ |
概要 | S&P500から株式80%&ELN20%のアクティブETF | Nasdaq100から株式80%&ELN20%のアクティブETF |
信託報酬 | 0.35% | 0.35% |
配当利回り | 9.72% | 12.14% |
トータルリターン(1年) | -1.15% | – |
トータルリターン(3年) | – | – |
運用資産額 | 約3100億円 | 約2700億円 |
備考 | JEPI 銘柄 – JPMorgan Equity Premium Inco 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets | JEPQ 銘柄 – JPMorgan Nasdaq Equity Premi 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
個別銘柄選択を行うJEPIは上昇相場と横ばい相場においてはS&P500を越えられる可能性を秘めている。
2022年12月31日時点でのJEPIのポートフォリオは下記のとおりです。
ざっくりS&P500と比較して、ITの比率を落とし、ヘルスケア、金融、一般消費財の保有比率を高めているようです。
高分配ETF比較
ETF | JEPI | JEPQ | XYLD | QYLD | XYLG | QYLG | VOO |
概要 | S&P500から株式80%&ELN20%のアクティブETF | Nasdaq100から株式80%&ELN20%のアクティブETF | S&P500指数連動&カバレッジレシオ100% | Nasdaq100指数連動&カバレッジレシオ100% | S&P500指数連動&カバレッジレシオ50% | Nasdaq100指数連動&カバレッジレシオ50% | S&P500連動ETF |
信託報酬 | 0.35% | 0.35% | 0.60% | 0.60% | 0.60% | 0.60% | 0.03% |
分配利回り(年) | 9.72% | 12.14% | 11.90% | 11.92% | 5.89% | 5.93% | 1.57% |
トータルリターン(1年) | -1.15% | – | -7.59% | -7.43% | -7.80% | -9.07 | -5.81% |
トータルリターン(3年) | – | – | 12.11% | 8.92% | – | – | 15.31% |
運用資産額 | 約3100億円 | 約2700億円 | 約9,500億円 | 約3,500億円 | 約75億円 | 約98億円 | 約38兆円 |
備考 | JEPI 銘柄 – JPMorgan Equity Premium Inco 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets | JEPQ 銘柄 – JPMorgan Nasdaq Equity Premi 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets | グローバルX S&P 500・カバード・コール ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX S&P 500・カバード・コール 50 ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | グローバルX NASDAQ100・カバード・コール 50 ETF | Global X Japanについて (globalxetfs.co.jp) | VOO 銘柄 – バンガードS&P500ETF 投資信託(ファンド)情報 – Bloomberg Markets |
直近一年間の値動きを比較してみると…S&P500(青)>JEPI(黄)>XYLG(オレンジ)>XYLD(緑)となっていますね。
JEPIとXYLGは直近こそ設定ますが、2022年12月付近ではXYLGと差をつけています。
QQQ>QYLG>JEPQ>QYLDとなっています。後半の上昇局面で大きく差が開いていますね。
下落局面での値下がりはカバーできていますね。一方でNasdaq100は大きな上昇の動きがあるのでカバードコール戦略は不向きなのではないか…?と思いました。
まとめ
JEPIはアクティブ運用となるためファンドマネージャーの腕によって左右されるのが難点ではありますが、消費財, ヘルスケアの比重が多くボラティリティを抑えられている構成に見えるので個人的にはギリギリありかなと。
一方で、Nasdaq100に関する高分配型ETFは無しかなと。Nasdaq100銘柄群のボラティリティが高いため下落を抑え防御力を高めることはできますが上昇分を相殺されてしまうのがもったいない。
そもそも、ELNは発行し続けることは可能なのでしょうか…?
すみません、ここは僕にはわかりません。ELNの投資先がなくなったとしても、保有している株式がなくなるわけではないので資産全体への影響はないとは思いますが、ファンド自体がなくなる可能性は頭の片隅に置いておくのがよいのかな~?とは思います。
僕の場合…
JEPIやXYLDなどの高分配ETFへの投資は考えていません。
理由はシンプルでS&P500を単体で投資するほうが信託報酬/配当課税がない点でコスト効率が良く、投資信託で運用できたりと簡単だからです。
新しいETFや複雑な仕組みのETFは調査したり、リスクを考慮したりと時間もかかりますし、最悪乗り換えが必要になるかもしれませんので…。XYLDの仕組みは直感的にわかりやすく、ボラティリティを抑えることができる点は魅力的なのですが、トータルリターンが想像以上に低かったので除外させていただきました。
今回の調査は以上です。間違えている箇所がありましたらご指摘いただけますと助かります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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